“熨斗出し”の日のこと
4月3日は結婚記念日でした。
春爛漫の桜の季節に、主人と結婚式を挙げてから13年が過ぎました。
結婚式では、披露宴の始まる前にお客様の前で「熨斗出し」を披露させていただきました。
「熨斗出し」とは、福岡・博多に残る婚礼の儀式のひとつで
花嫁が両親のもとで大切に育ててもらったことを、新郎新婦両家のみなさんの前でお披露目する儀式です。
先月、NHK BSプレミアムで放送された旅番組のなかでも、主人の制作した「熨斗出し」の作品を紹介していただくことがあり、今年はことさら主人の前にお熨斗を出したときのことを思い出します。
結婚式と披露宴のあった日のアルバムをめくると、もう亡くなった主人の父や双方の叔父叔母たち
この春から高校生になる姪っ子が二つか三つほどの歳で可愛らしいブーケを運んでくれた姿など
あれこれと見ているうちに、主人と過ごした時間の長さにおどろかされます。
心が折れそうなとき、胸が張り裂けそうに痛いとき、だれかが側にいてくれることほどありがたいことはありません。
主人がいてくれて、娘たちがいてくれて、安心して休むことができます。
体調を崩して目を覚ましたら、あたたかいお味噌汁と主人の得意な野菜炒めがあって
枕もとにはお薬とお水が運んであります。
そんなとき、つくづく結婚してよかったと思います。
弱った時にこそ、そう思うのです。
今朝は、この5月にお嫁に行かれるお客様の結婚式の記念の品を制作させていただいていました。
お天気も良く、粘土もよく乾いてくれたので、焼きあがったらひとつひとつ丁寧に色を塗って仕上げたいと思っています。
春がすぎて、新緑の葉が茂るころ、お嫁にいかれる大切なお客様のもとへ、自信をもって送り出すことができるよう
明日からまた主人とともに工房でコツコツと作業に励もうと思います。
来年の春もまた、良い一日がめぐってきますよう。
結婚記念日に、私はありがとうの気持ちでいっぱいです。