「ウミネコ ウーちゃん」制作記 その4 ~福岡・八戸 完結編~
4月16日に、FBSテレビ「めんたいplus」番組内で、ウミネコ博多人形の制作の様子が放送されました。
たくさんの方からあたたかいメッセージやお電話をいただきました。
ありがとうございます!
さて、ブログでご紹介してきたウミネコ ウーちゃんの制作記も今日が最後です。
焼きあがったウーちゃんをヤスリで磨き上げ、彩色をほどこして参ります。
彩色をして、色を塗り分け、一色一色足していくことでより成鳥(オトナ)のウミネコらしくなってきました。
ひと月以上いっしょに暮してますので、もう我が子同然。
可愛くて可愛くて、おもわず抱っこ。
何度もYouTubeのウミネコの動画を見ていた主人ですので、家の中はウミネコの鳴き声でにぎやかな毎日が続いていました。
ちょうど福岡は桜が満開の時期でした。
目が入る前でしたが、福岡の桜を見せてやりました。
青森はゴールデンウィークごろに桜が咲くそうです。
別素材で作った後ろの羽もはめ込み、接着です。
全体を磨き、照りを出すことで凹凸もはっきりとしてきますので立体感もでてきます。
ここで、横で見ていた義母さま(シュートメさまですね)がサラッとひと言。
「それで終わり?手がかかっとらんごと見える。」
・・・Σ(゚Д゚)・・・軽くダメ出し。
お義母さま、納品、出発まであと数時間です・・・
それ、いま、ゆう?!
主人・・・「うーーーーん・・・。」
わたくしも、「このまんまなん?なんかツルっとしとーねぇ。毛書きせんと?」さっきヨシマサさんにゆったんですけどね。
一品作の仕上げ前は、あの温厚な主人がピリっピリしてますから、ゆる~くあたりさわり無く言ってみたんですけどね。
私の提案、聞き入れられませんでしたが、母親のひと言って影響力大ですね。(-“-)
毛書きのことはひとまず置いておいて、目を入れましょう!
目は絶対要りますから!
目が入りました。
ここで出来上がりとするか否かは、人形師本人が決めることです。
ヨシマサさん、かなり毛書きしたいモードになってます。
夜中の12時ごろです。
ま、飛行機の中で寝たらいいじゃないのということで。
「やっぱり、毛書きするわ。全部。(*^▽^*)」・・・全部?ですか?ダンナさま。出張の用意なにもできてませんけど。(^^ゞ
黒い羽の先の部分も、灰色の羽の部分も、おなかの白い羽毛も・・・全部です。
はい!いつものごとく納得のいくまでお仕事されました。
羽の一枚一枚に毛書きです。
筆の穂先を割り、毛の一本一本を書き入れていきました。
出来上がったウーちゃんは、とても立派な姿でした。
凛として、自信に満ちているようで。
どこへ出しても恥ずかしくない、立派な立派な姿でした。
もちろん主人もスッキリとした表情です。
仮眠を少し取り、朝一番で梱包。
青森八戸へと旅立った主人とウーちゃん。
シュートメさま、オロオロしながら
「ミエさん!吉将、飛行機の時間何時ねって聞いたら、知らんげな!(;゚Д゚)ミエが知っとる!やら言いよる・・・お父さんもそーやった!!」
だいじょうぶです、お義母さん、ヨシマサさん、40歳のオトナですから。(笑)
私「気をつけていってらっしゃいね。向こうの方にもよろしくね。(^^)/」
義母「自分のことは自分でするとよ!!!(;゚Д゚)」
母親と息子の会話って面白いですね。(笑)
なんだかいつも笑ってしまいます。平和だなぁ~と。(#^^#)
蕪島に着いたら、たくさんのウミネコがいたそうです。
それはもう驚くほどの。
案内してくださった八戸の担当者の方いわく、この日は通常よりウミネコの数がずいぶんと多かったそうです。
まるで、新しい仲間のウーちゃんと主人を歓迎してくれているようだったと、いまでも主人はうれしそうに話してくれます。
本やネットの資料、剥製(はくせい)、スケッチ、動画、頭の中でウミネコってどんなだろう?
これでいいのだろうか?そんな思いで過ごしたひと月半がなんだかウソみたいに、目の前にはウーちゃんそっくりのウミネコがたくさんいたそうです。
で、こちらが
「なんか笑ってしまった。あれだけわからんわからん言いよったウミネコがね、いっぱいいっぱいおるとよ、目の前に。」
帰福した主人がそう話してくれました。
ウーちゃん、元気にしていますか?
青森にも桜は咲きましたか?
我が家は相変わらずみんなでにぎやかに、元気にしています。
ウーちゃんとすごしたひと月半、とても楽しかったです。
主人が、ウーちゃんの代わりにと蕪島神社で小さなおみくじの入ったウミネコの素焼き人形をお土産に買ってきてくれましたよ。
我が家のお守りとして大切にしています。
これから先、福岡と八戸の橋渡し役として、また震災復興のシンボルとして、ウーちゃんの活躍を応援しています。
たくさんのウミネコの仲間たちと、八戸の皆さんに可愛がってもらってください。
主人や私たちが歳をとり、いつか亡くなることがあるでしょうが、ウーちゃんはそれよりずっとずっと長生きして
あなたの元を訪れた皆さんに、震災のことを忘れないでくださいと、そこでメッセージを送り続けてください。
娘たちふたりは、いつかウーちゃんに会いに行きたい!と言ってます。
そのときはどうかふたりを温かく迎えてやってください。
ウーちゃんのおかげで、たくさんの方たちと出会うことができました。
どうもありがとう。
ずっとずっと大好きです!