拝啓 松尾吉将殿 もう、謝らんでいいよ。
拝啓 松尾吉将殿
昨夜は、福岡は大きな揺れもなく、いま子供たちはぐっすりです。
雨がよく降っているので、なんとなく不安はあるけど・・・大丈夫です。
貴方を東京へ送り出して、二晩が過ぎました。
あと、六日。・・・長いね。(笑)
昨日、お義母さんと話して、叔父さんの骨は、四十九日まではお家に置いておくそうです。
貴方が居なくてもちゃんとやってるから、大丈夫。
びっくりしたよね、急なことで。
新作展の審査前日、貴方の代理でお通夜行って、
翌朝、できたばかりの新作と、貴方を送り出して、その時、ほんの一瞬ホッとしたよ。
とりあえず、貴方と出来たばかりの人形は、東京へ行ったって。ホッとした。
おじさんね「老衰」げな。前から悪かったって言ってあったもんね。
綺麗なお顔やったよ。お花いっぱいお棺に入れてあげた。
天災あるなしに関わらず、人は老いたら死ぬとね。
毎日のニュースで頭がいっぱいで、当たり前のこと、忘れとったよ。
ほんと、この家は、いろんなこと教えてくれるね。
ハルカもお骨拾っとった。
五歳になってお箸使えるようになったとが、よっぽどうれしいとやろうね。(笑)
叔父さんのこともやけど、審査前に人形が割れたってメッセージ見た時は、びっくりしたなぁ。
目の前で、出棺中やったけど、もう訳わからんかったよ。
地震以来、びっくりだらけよ。(笑)
・・・残念やったね・・・悔しかろうね。
私も悔しかもんね。
泣いたらいかんて、思っとったけど、火葬場でお義母さんが、疲れきったお顔をなんとか笑顔にかえてね、
「吉将から、連絡あったね?賞は取れたとやろうか?」って優しく聞いてくれんしゃったとよ。
もうね、ガマン出来んやったと。
「割れた。」って。
「審査前に人形が台座から落ちて、割れたって。応急処置したけど、審査出そうかさっき2人で話し合ったけど、今回は出しません。来年、また、ちゃんと作り直して、出直します。」って、言葉と一緒に涙が止まらんやったよ。
びっくりされとったけど、さすがやね、お母さんすでに過去経験済。(笑)
いい嫁さん来てくれて、ヨシマサは幸せよって、そう言ってくれたよ。(^_^)v
落語の人形を作りたいって、前からよぉ言っとったね。
そんなことを口にするごとなってから、半年くらいかかったやろうか?
がんばったね、もうね、謝らんでいいよ。
がんばっとうの知っとるけん。
私ね、いまね、元気よ。生きとるよ。
たまにまだ揺れるけど、あれだけ念の入った人形が、代わりに割れてくれたんかもなって思うと、なんか大丈夫な気がするん。
こんな時に、一週間以上もひとりで娘らを守らないかんて、ものすごい不安やったけど
なんか・・・ちょっと、不安軽くなったよ。(^^)
もしね、明日私が死んだとしても、どっかでひとつの命が助かっとる気がするん。
「身代わり人形」やったとかもしれんね。
また、作ろう。
待っとるよ。
やけんね、大丈夫。
元気でおってね。
貴方が元気でおってくれたら、人形はまた作れるし。
貴方だけでは作りきらんのもよぉ知っとうけん、私も元気でおるけん。
待っとるよ。
理事の方が、「この鬼、あんたのお父さんが笑った時の顔にそっくりやね」って言うてくれたとね。
ホントそうやね。そうやね、お父さんそっくり。いま気がついたよ。
子供の顔は、ハルカそっくり。愛らしかぁ。
いつか皆さんに、きちんとした形でお披露目しよう!(^^)
次の目標出来たね!
ほんと、貴方と一緒におったら退屈せんよ。(笑)
あと、六日。女三人、気楽にやっとる。
また、連絡するね。
今日も、がんばってお勤めください。
そちらの皆さんにもくれぐれもよろしうお伝えください。
好いとーよ。(*^^*)
美江より