新作は「花嫁」。
本日より、東京の日本橋三越本店にて「第65回新作博多人形展」が始まりました。
主人は「熨斗出し」という人形を出品させていただきました。
「熨斗出し(のしだし)」とは、博多の結納・婚礼の風習として伝わっているもので
古くは、新婦側の代理人が、新郎側に婚礼の承諾の印として熨斗を届けておりました。
現在は、様式化されたものとして花嫁が両親に大切に育てられ培ってきた礼儀や作法を新郎や招待客にお披露目するという形で、ごく一部の料亭や家庭で残っております。
私も、主人との結婚式の際にこの「熨斗出し」を披露させていただきました。
新作展、何を作るか?美人もの・日本髪・着物姿・・・ここまではある程度固まっていましたが、そこからがなかなか決まらず。
今回はかなり迷っておりましたが、コレ!と決まってからは早かったです。
無造作な形のまま袋に入った粘土。始まりはいつもここからです。
作りたいもののイメージをざっと形にしていきます。
「文字通り“泥人形”やね。ちょっと怖いよ。(笑)」とは私のコメント。(*_*)
着物の細部まで理解するために、私が実際の着付けをしたものを見せます。
「花嫁らしさ」をどう表現するか、襟の抜き具合、帯の結び方などを説明します。
一週間ほどの里帰りを終えて、福岡にもどると、なんとなく花嫁さんの形が見えてきました。
もう、怖くありません!(笑)むしろ美人さんになりそうな予感・・・。
鉛筆で着物の柄を掘り込みます。鶴の羽、一枚一枚、丁寧に。
原型完成!
今回は、型を取ります。
型、多過ぎ。主人軽く凹んでました・・・(^^ゞ
石膏型に粘土を手押しして、素地をつくります。
それぞれ作ったパーツをつなぎ合わせて一体の人形に。その後じっくり乾燥させて、焼成・・・出品締切間近。時間との戦いです。
彩色に入ります。
白無垢ですので、着物は基本「白」ですが、襟の白、掛下(かけした・打掛の下に着る着物)の白、打掛の白、すべて違いますが、すべてが「花嫁の白」です。
打掛の鶴と波の柄と色。銀では強すぎます。
白に映える白・・・なかなか色が決まりませんでしたが、パールがかった白を調合。
面相。
うれしい発見。主人の描く顔が変わってきました・・・。これまで主人が描いてきた美人ものの顔とは明らかに違い、父、故松尾文夫の顔を描くことが増えてきたからでしょうか、松尾文夫の描く顔に似てはいるのですが、それとも何か違う・・・なんだろう?
これは、修正前のものですが、なかなかの美人さんに仕上がりました。
「きれい!お人形さんみたいな顔やねー。(笑)」と私が言うと、「人形やろうもん。」と主人。褒めたんですけど・・・(^^ゞ
主人は正面からの姿が好きなようですが、私はこの角度が好きです。
少し斜めから。女性の奥ゆかしさが出ているような気がします。
日本髪に着物姿・・・良い意味で「博多人形らしい」ものに仕上がったと感じました。
新しい題材にもチャレンジすることが主人のよいトコロだと思いますが、古臭いと思われるかもしれませんが、今回の「熨斗出し」の人形は、博多人形ってこうだよね!やっぱりいいよね!って私に再確認させてくれました。
おかげさまで昨日の審査の結果、松尾吉将の新作「熨斗出し」、新作博多人形展にて福岡市長賞をいただくことになりました。
これからより一層精進していく、何よりの励みになったと思います。
題材、アイディア探しからおよそ一か月と少し、駆け足ですが、松尾吉将の新作をようやく皆様にお披露目することができました。
「第65回新作博多人形展」は本日より東京日本橋三越本店5階にて開催中です。
26日から最終日29日までは、主人も会場に入る予定ですので、お近くお寄りの際はどうぞいらしてくださいませ。(*^-^*)
【お知らせ】Facebookページ「松尾吉将 博多人形工房」でも、日々の制作活動や松尾吉将の作品、気になるアレコレなどを紹介しております。ぜひご覧ください!
Facebookページ「松尾吉将 博多人形工房」へクリック↓Go!!
https://www.facebook.com/hakatadollmatsuo