【下地の整え方】美女と野獣?を例に

 

先日、ワタクシ、ひとつ賢くなりました。(笑)

ここだけの話ですが、皆さまにも内緒でお教えしたいと思います。(^_-)-☆

 

よく、素地が焼きあがって、人形の素地の凹凸をなくしツルツルに仕上げる工程についてご紹介することがあるのですが、これは博多人形独特の、なめらかな肌、質感を表現するのになくてはならないとても大事な工程です。

 

地味ですけど・・・

かなり砂だらけになり、汚れますけど・・・

 

 

凸部分は、紙やすりや布ヤスリ、ペンナイフなどを使って丁寧に削りおとします。

一方凹部分には、パテやコクソウと呼ばれるもので穴埋めをします。

下を見ていただいたらわかるように、白い部分、これがパテですね。

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さて、ここで二人のモデルに登場してもらいます。

量産品代表、ご存じ「くまモン」。高額商品代表ということで、一品作の「ヌナカワヒメ」さま。

 

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我が家の美女と野獣?です。(^_-)-☆

 

 

 

一般的な量産品の博多人形や、くまモンに使っているものは、こちら。

 

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いわゆる「パテ」です。

最初から袋詰めされている状態で市販されていて、袋から出すとすぐに使えます。

扱いも比較的カンタンで、ヨメでも使えます。

 

 

 

一方、高額商品や、「ヌナカワヒメ」などにつかわれるのは、膠(にかわ)と胡粉(ごふん)でつくった「コクソウ」と呼ばれるもの。

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この手作りの「コクソウ」と呼ばれるものは、胡粉とニカワを練り合わせたものです。

 

胡粉(ごふん)とは、貝殻を粉末状にしたもの。

 

膠(にかわ)とは、動物の骨を煮込んで接着剤のような役割をします。ゼラチン質かな。

 

 

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ニカワも胡粉も両方とも天然素材ですので、材料としてもパテに比べて高価になりますし、練り合わせる手間もかかります。

 

 

練り合わせる際の硬さは・・・

 

ヨメ「どれくらいの硬さ?」

吉将「団子くらいよ。」

ヨメ「ってことは、耳たぶくらい?」

吉将「やけん、団子くらいよ。」

・・・人形師の勘によると記しておきます。(笑)

 

 

どうして使い分けるのかというと、彩色の際に水干(すいひ)と呼ばれる天然の絵の具を使う場合、人工的に創られたパテだとその部分が白けてしまうのです。

 

パテに絵の具が染み込まないというか、はじくというか・・・私は「絵の具がのらない」という言い方をします。

 

天然の絵の具がのりやすいように、天然の素材で下地を整える。

人工的な絵の具で塗りつぶせるなら、人工的なパテで下地を整える。そのほうが効率はあがりますから。

 

 

それぞれの人形によって、使う素材をかえていきます。より最適なものに。

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一品作などは、当然のことながら、量産品よりも人形の値段が高くなります。

 

それは、単純に原型を作る手間が大きいことは間違いないと思います。

一つの人形に対してひとつの原型なのか、300体の人形に対してひとつの原型なのか?

ひとつしかない、オンリーワンの価値というものが一番大きな理由です。

 

ですが、人形の値段というのはそれだけで決まるわけではなく、その他にもいろいろな手間や材料の違いが隠れていたりします。

もちろん、量産品の人形にも気が遠くなるほどの手間がかかっているのですが、一品作など数十万円する人形が「どうしてこんなに高いのですか?」と質問されることも多々ありまして、今回、すこし紹介させていただきました。

 

 

 

私自身、まだまだ人形制作の工程について日々勉強です。

 

なるほどー!と思ったことは、皆さんにもお知らせしますね。

 

ご一緒に博多人形について、お勉強しましょう!

 

きっと、博多人形の鑑賞の仕方がより楽しくなると思います。(*^-^*)

 

 

 

※今回ご紹介した内容は、あくまで当工房での作業工程ですので、それぞれの博多人形師さんにより工程や作業の進め方素材の選び方は異なります。

 

 

 

 

 

 

 

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