「ウミネコ ウーちゃん」制作記 その2
さて、「ウミネコ ウーちゃん」ことウミネコ博多人形。
細かい羽毛の部分も作りこんでいきます。
表面もなめらかにならし、原型が8割がた仕上がってきたので、中身の粘土をくり抜きます。
今回のウミネコは、一品作(いっぴんさく)と呼ばれる、いわば一点もので制作してます。
博多人形は、焼成間に割れるのを防ぐため中は空洞になっています。
量産品と一品作では空洞の作り方が違います。
【量産品】・・・原型そのまま →石膏で型をつくる →型に粘土をおしつけて素地をつくる
【一品作】・・・原型をスパッと割る →中身の粘土をくり抜く →元の形につなぎ合わせる
ここまでできたもの(写真で言うと上のモノ↑ですね)を、ぱっくり割ります。
見慣れてない方は「え?!これを割るの?!Σ(゚Д゚)」と驚かれますが、割ります。
「どうやって元にもどすの?(;゚Д゚)」とオロオロされる方もいらっしゃいますが、なんか人形師さん上手に戻されるんですよね。
なので、心配無用!進めましょう!!
で、こんな風に中身を刳ります。ブログでもおなじみの工程「刳る」・・・「くる」ですね!
で、あんなにずっしりと重かったウーちゃんが、こんなふうにおなかの中がスッキリしてだいぶ軽くなりました。
焼成すると粘土の水分が飛ぶので、さらに軽くなります。
二本足で立てるかも???(≧▽≦)
少し希望が湧いてきました。
で、また各パーツをつなぎあわせます。
ほら、ばっちり!
こんなふうに。ウーちゃん、再生。(^_-)-☆
開腹手術の跡はみじんもみられません。ブラックジャックもびっくり!
ところで、さきほどから「ウーちゃん」「ウーちゃん」と連呼してますが、これ、下の娘が命名したウミネコ人形の愛称です。
我が家では、人形を大事にあつかうことを小さいときから教えます。
仕事場に出入りすることもよくありますし、いたるところで人形や型を乾かしていたり、並べていたりします。
それらのモノが「単なるモノ」ではなく、「心を持ったモノ」であると伝えることで娘たちは大事にあつかってくれるようになりました。
なので、うちの娘たちは出荷前の人形を1回たりとも破損したことはありません。
今回のウミネコ人形もしかり、1点ものなので大事に大事に作業を進めていかなければなりません。
そういう話をしていると、下の娘が「ウーちゃん!ウミネコ ウーちゃん!やん!」とうれしそうに名前をつけてくれました。
おなかの中が空っぽになったウーちゃんに、娘たちがアブラ粘土でつくったエサをやっています。(笑)
この日のウーちゃんのメニューは、「モンブランケーキと紅茶」のセットでした。
このことを、八戸の担当者の方に報告すると、ウミネコは「かっぱえびせん」が大好きだということを教えてくださいました。
家の中で、ウーちゃんの話題が食事の時などにひんぱんにあがるようになりました。
「ウーちゃんの足を作らんといかんね。」
「ウーちゃん、何で色塗ると?」
大人も子供もウーちゃんの完成?誕生を待っています。
ちなみに今回の資料の数々。
印刷物や書籍のコピーのほかに立体物もひとつ。
チョコエッグのおまけの「ウミネコ」。
資料探しは、主にヨメの仕事です。
いま制作中の仕事に、どんな資料が必要か、手持ちの資料に使えるものがあるか?
新しく用意する資料はどこで手に入るか?
主人の制作工程を横でみていると、なんとなく必要なものがわかってくるようになりました。
このチョコエッグが役に立ったかどうかはナゾですが、え?こんなものまで?というものも探します。
超ミニサイズのウミネコは、ウーちゃんの赤ちゃんとして家族に仲間入りすることになりました。
資料というより、マスコットですね。(笑)(^^ゞ
八戸の担当者の方々や、この仕事にかかわってくださった福岡サイドの皆さまにも「ウーちゃん」の名前が浸透してきたのもこの頃です。
明日は、一番の難関、脚のお話をしましょうか。(*^-^*)
続きをお楽しみに・・・
【お知らせ】
今回の「ウミネコ博多人形」制作の様子を約1か月半にわたり、FBS放送局が密着取材してくださいました。
震災復興のシンボルとして、また八戸と福岡の橋渡し役になるようにと依頼いただいたウミネコ博多人形。
放送は2015年4月16日(木)めんたいplus 18:15~の予定です。どうぞご覧ください!